サキュバスの晩餐

sakyunの日記

そこはかとなくよしなしごとをば

車を運転した。
洗濯した下着がここ数日なかなか乾いてくれない。わたくしの胸のパーツはまこと小ぶりでコンパクトなおっぱいなので(貧乳ともいう)ブラジャーぐらいなら数日無くともなんとかすごせるが、ぱんつ無しでは秋の終わりにして冬の始まりを過ごすのは過酷である。もはやこれまで観念じゃ!ここは奥の手、景品でもらった商品券を財布に挟み、ぱんつを買い出しにいった。
‥‥しげしげと下着の大群を眺め
ああでもない、こうでもない、そうでもないったら、これかしら、いやでもあれかしら?
‥‥かえすがえすひっくり返し手にとり感触を確かめ
2時間経過
‥‥やっと選び終わって買った

再び車に乗り込み走らせる。と、赤信号で止まった。信号の下には「感応式信号」と表示されている。

感応式信号は 交通量の多い広い道路に接する交通量のごく少ない狭い道路の方に向けられて設置されることが多いような気がするのだが、ここは田舎なので、どっちもどっちな交通量、前を横切り通過する車は1台も来ない。
感応式信号が青になるのを待つのはドキドキものだ。
本当にここに私の車がいると信号は感知しているのかな?多分大丈夫だよね?
と、待っている間中、心の中で反芻している。いつまでも赤信号が長引いていると、不安になるものだ。わたしが知っている人の中には、停止線をタイヤ一個分ぐらい前に踏み越えちゃったから、感知がにぶいのかもしれない?と、バックミラーをのぞいて後ろに車がいなければ後ずさりした人がいた。あまりに待ち時間が長過ぎる感応式信号にたまりかねて、車を降りて、横断歩道の押しボタンを押しに走った人も知っている。(彼女にいわせると歩行者用の押しボタンの方が反応が早いそうである)

あにはからんや 無事信号は青に変わった。ああよかった!ハンドルを左に切りながらもう一度「かんのうしきしんごう」と思い浮かべてみる。漫画の吹き出し風に書けば「官能式信号」。ハンドルを手前に戻して前へ走り出す。ここから妄想が始まった。

ある近未来、ある国に「官能式信号」が設置された。その信号が赤から青に変わる条件は 18歳以上である運転者が 信号機を異性のボディに見立てて、運転席上でゼスチャーし悦ばせなければならないというものだ。運転者は無線方式のモーションキャプチャー手袋を装着しており、信号に向かってあれやこれやのスキンシップを演じるのである。
それはもう大変で 失敗した場合は延々と後ろに順番待ちの車が連なり、渋滞を起こすこともある。これを「官能渋滞」と呼ぶ。信号を通過するには誠実に真剣に取り組むより方法はない。信号に設定された制限時間後、信号LEDサインボードに浮かぶ文字はで「丁寧に!」だの「早すぎ!」だのと信号の評点は厳しい。その信号のある場所が通勤路や生活道路で日に何度も通らねばならない運転者はさらに過酷である。信号は最新のクラウドコンピューティングとやらのデーターベースで(もっぱら雲上にサーバーが有るとの噂である)瞬時にやり取りし、車の個体認識番号と運転者の顔を認識しているので、同じ人間が、前と同じやりかたで通過しようとしても、と情け容赦なく「マンネリ!」と評価され、信号は青になってくれない。
官能式信号が普及後の市町村統計データによると、離婚率が著しく減った。結婚率は若干減った。出生率はやや上向きに向上。

などと、あふぉなことを想像して運転しているうちに帰り着いた。ところで感応式信号は 本当は何に感応しているのだろう?わからないなあ?