サキュバスの晩餐

sakyunの日記

回転寿司を食べながら一人思うこと

 多分12年前の私だったら、こんな風に一人で回転寿司のカウンターに座り黙々と食べていることに気恥ずかしさと寂しさを感じただろう。

 でも今夜はもうそんな風に思わなかったんだ。

連れの男がいたらいいのになんて微塵も思わない。むしろ、思い返すと男が食べた分まで代金を払わなければならないので、次々とうず高く積まれていく皿の数に内心ハラハラとしながら自分は大して好きでもない巻物を頼んで皿3枚に留めて、お茶をがぶ飲みして腹を膨らませ、ガリをかじって相手が食べ終わるまで「お腹すいてないのー」とニコニコしながら待つなんて、もう二度とそんな健気な馬鹿女にはなれないし、なりたくないもん。

 家族連れのどよめきの中、この13番カウンターだけは水を打ったような静けさで、エビにアワビにマグロにイカにカツオ叩きにローストビーフ、そして茶碗蒸しと次々平らげ、地味な色のお皿に金色のお皿とお気に召すままにカラフルに一面に並べて積み上げる。こんな風に自由になれてよかった。