サキュバスの晩餐

sakyunの日記

郵便受けに

乱暴に放り込まれた朝日新聞の配達の音に驚いて目が覚めた。まだ レースのカーテン越しは暗く、朝日が昇っていないのだとわかる。のろのろとトイレに立ち 戻りがけちょっと新聞を読んでみようかと迷うが まだ朝の5時なのだし 休日だし、と、思い直して 怠惰に布団に潜り込む。だが、なかなか 二度寝に入れない。
薄目を開けて、天井を見て、また目を閉じて、と 繰り返しているうち こうやって一人でワンルームの部屋に転がっている今の自分が夢にすぎなかったら、と、想像してみる。
起き上がって、ドアを開けたら、早起きの母が部屋を掃除していて、父が仕事場に座っているのだ。わたしは まだ子供で、のんびりとしていて...。
ふと思う。わたしが結婚してから離婚するまでに作ってきた家庭は 家族にとって戻りたいと懐かしむほどの暖かみがあったのだろうか。
家庭を維持するというのは不断の努力の賜物なのだろうと思う。父も母も偉かった。私は力つきてしまったけれど。
7時過ぎにやっと布団を抜け出て、新聞を取り出す。雨が降っていたのだろうか。新聞紙は 濡れて涙が乾いた跡のように しわしわでパリパリとしていた。