サキュバスの晩餐

sakyunの日記

いろんな意味ではじめから

無理のある家庭だった。
そもそも 男も女も どちらも結婚なんて
するべきではなかった。
未熟で 配慮のない 二人の愚かものが ただぼんやりと
くっついたというだけの結婚だった。
そして さらに愚かにも 自分たちの欠陥さえ解決も
できないのに 子供が生まれた。

男は低学歴だった。コンピューター系の学科を中退していた。
学業の怠業による退学だった。
劣等感を背負ったままだった。
暇があれば中古パソコン、部品、パソコン雑誌を買いあさり
浅薄にして無意味な知識を振り回して 劣等感を癒していた。

インターネットの時代が始まった。
はえーでーえすえる、を、家にひき、
まだ小学校にあがって間もない
子供に ネットゲームをやらせた。
これからの時代 パソコンゲームくらい
できなきゃな、と、よくわからない理屈をつけた。
ただ、自分の劣等感を子供で埋めたかっただけだ。

夫婦は貧しく共働きだった。
鍵っ子だった子供は 学校から帰るとランドセルも
開けず、宿題もせず、ネットゲームを延々とやるようになった。

母は 仕事から帰り、
家事が終わると、自分のパソコンでネットゲームをしていた。
夫にも子供にも関心が無くなった。
彼女の理想とはほど遠い現実の惨めな生活に目を背け、
きれいごとばかりでうまくいかなければリセットのきく
シンプルなネットゲームの世界にしか心はなかった。

父は 仕事から帰ると、
ネットオークションでガラクタパソコンを買いあさり
有料アダルト動画チャットに夢中になった。

そして

子供は不登校になった。
同世代の子供と会話もできず、集団行動もとれず
勉強もしないし、運動もできない。

父は
家中の押し入れをガラクタでいっぱいにし、
家中の壁を古本で一杯にし、
それでもまだたりないと カードをつかって買いあさり
200万の負債、
アダルトチャットで80万の負債をつくった。

妻は家を出た。

ネットゲーム家族は崩壊した。

これは 本当に起きた話。