サキュバスの晩餐

sakyunの日記

大人になったら大人買い

この漫画、1から21の最終まで全巻一気に買いますね、あっ、それと、この棚のおまけつきキャラメル出ているの全部まとめて買っちゃおう、お、このアーガイル柄のセーター5色も出てるぅ〜!どの色にしよっかなー迷っちゃう、えーい、全色かっちゃえ同柄色違いで5枚買いましょ!

まあ、多少誇張もあるけど、そんな気分になることが増えてきた。もちろんわたしは気分だけで実際は激しく買い物しませんが。
大人買いというのは大人の特権であり、働いて稼いでいるから、誰に止められることもなく、子供の頃には小遣いの範囲でちまちましか買えなかったものが、おもいきりたくさん買えることなのだろうと思った。

でも それだけじゃないみたいだ。自由になる資金に余裕があるだけが理由ではない。

大人になって、それも、だいぶ大人になりすぎたこのごろわかってきた。

大人は...あれかこれかと買いたいモノについて深く吟味するのがだんだんおっくうになってくるのだ。買うことを考えると疲れてくる。さっさと買ってしまえば楽ちんだ。あれこれ物欲に思いを巡らし、情報を集めたり、時間をかけて眺めたり、何度も足を運んだりする時間や手間は楽しみにかわって疲労のもとでしかなくなり、だんだん選択肢を考え抜く作業をやめたくなるのだ。

例えば 本について思い出してみた自分の場合。
若い頃は、読みたい本があったときは買わないで、何度も本屋にかよって、立ち読みぶっ続け4時間しても腰が痛くならなかった。おまけに時間だけはむやみに長く余裕たっぷりで、片道1時間ママチャリこいで山の上の図書館に毎週通ったり、国会図書館から取り寄せてもらって借りたりした。待つ時間なんて苦にならなかった。お小遣いはたくさん持っていなかったけれど、それを補ってあまりある、暇な時間と無駄な体力があった。だから、大人買いなんて、する必要がなかった。

大人になるほどに、むやみやたらと時間がたつのが早くなってくるので辛抱強く待つのが苦痛になってくる。体力は油断してほったらかすとあれよあれよとうなぎ下がりに下がる一方で、買い物ごときで体力を使うのがもったいなくなってくる。
うだうだと情報の海を迷うのは疲れるし、少しずつ何度にもわけて買いためる辛抱強さも弱り、買い過ぎを注意する年長者がいるわけでもなければ、なおのこと、一気にまとめ買いしやすくなるのだろう。

大人買いをするようになったら、もう若くないということですね。