サキュバスの晩餐

sakyunの日記

楽しいお料理教室があるから一緒に行ってみない?

と、以前の職場で知り合った女の子に誘われた。お料理は好きだし その女の子はおっとりおだやかな優しい物腰のひとなので一緒に趣味の習い事も楽しいかしらん、と思って参加オッケーした。
参加費も一応安価ではあったけど設定あったし、場所も公共の施設で開催とのことだし、地元の料理好きな同好の人々の集いかなー、と 勝手に想像していた。


結論から書くと、たんなるお料理教室とは違っていた。とあるマルチ商法の宣伝と勧誘が主目的の、お料理教室だった。


彼女が マルチ商法グループ主催のクッキング講座なら はじめから そうはっきりと説明して誘ってくれたなら、わたしはそれほど嫌な気持ちにならなかったと思う。普通の料理教室のようなことしかほのめかさず、仲良くしたそうなそぶりをみせながら、わたしをマルチの一団のるつぼに囲いこみ、NOといいにくい場に連れ込んだのだ。それは著しく、わたしの気分を害した。その場では態度にださなかったけれど
カルト勧誘によくある話として フレンドリー野郎が近づいてきたので、その人と仲良くなったところで、フレンドリー野郎に趣味のサークルやヨガ講座といって誘われ、ついて行ったら、みんないい人達ばかりで、でも実はそこのメンバー全員がカルト信者だった!びっくりして逃げ出した、と、きいたことがある。まさにそれと同じ手法だとおもう。

マルチ班長(と言っておこう)の目は キラキラとして カルト信者の目とよく似ていた。現実ではなく幻想を見ている目だ。マルチ班長の説く 「成功」「認められる」という概念は 私の信念とは全く!違っていてついていけないなー、と思った、言えなかったけれど。

仮にも 武道を付け焼き刃1年未満とはいえ 心はサムライウーマンだぜいっと、はっきりその場で NO!と言うべきではなかっただろうか。どこぞの東京都知事さんならば 堂々アメリカ ホワイトハウスの面々に囲まれたとしても、NOと言えるだろうが、わたしは 気弱で日和見で表向き和を保ちたい庶民。その場にいたのは 私以外はマルチ一派の皆々様ばかり。多数決で負けてる。オンラインゲームで例えれば 複数のプレイヤーに囲まれて ボックス状態タコ殴りされまくっている HPの低い雑魚モンスターが私。どうして 異様に輝く目をしたマルチ企業信者である彼ら彼女らを前に マルチ商法に釣られるのは嫌だと意思表示できるだろう?拒否すると、かえってトラブルの度合いが深まりそうで 刺激するなぞもってのほかという気になってしまった。だから 嫌だとは、その場で言えなかった。

後日。マルチ班長からメールが来た。気さくな友達のような文章で、お茶しませんかと書いてあった。正直にマルチの勧誘するけどいいですか、とは書いていない。返事メールは書いていない。答える言葉がみつからない。
テレフォン人生相談や多数の著作でご存知の方も多い社会学者の加藤諦三氏は ある著作の中で「友達になろうと言って近づいてくる人の危うさ」について述べていた。ほんとうに今回の件ではそれを身にしみて感じた。
マルチ商法を嫌いなところは 友達になろうよ、と親愛のオブラートにくるんだ甘い言動で接近して、相手の人の良さにつけいって商売のカモにすることだ。ネットで成功するにはコネ作りが大切です!と講演している有名アフィリエイターさんの逸話を読んだときに、なんとなく打算的で嫌なやっちゃなーとうっすら感じたが、今にして思えば、まだまだ彼のほうがマシだ。

わたしは いま とても 寂しい、それは 認める。
自分の家庭もなく、正社員として所属する組織もなく、身よりもいない、はじめて暮らす見知らぬ土地で 日々せっせと暮らしている。

だけど どんなに寂しくても マルチは必要ない。自分だけの夢と希望があるし、なにはさておき守りたいものがあるから。