サキュバスの晩餐

sakyunの日記

不思議なおじさん

不思議なおじさんがいる。
とても魅力的な人だ。おじさんに 一言でぴったりの表現をさがして考えてみる。
「カリスマ起業家」
おじさんは起業家だ。。それも、私の知る限りでも3度は起業している。そして その全てが破綻している。でも いつもおじさんはへこたれなかった。また最近も起業しようと動いているらしい。
「天才アイディアマン」
事業のアイディアを思いつく天才だ。しかも その読みは先見性に富んでいる、というか、富みすぎている。時代の先をいきすぎて、時流が彼の発想からはるかに遅れてやってくる。時流の波に乗り遅れてはライバルが多すぎて儲からないが、時流の先をいきすぎるのはそもそもニーズがまだ起きていないので、まったく儲からない。
「人たらし」
おじさんはなぜかとても人気がある。とても人望があって、いわゆる男を惚れさせる男というやつだ。事業に失敗ばかりしているにもかかわらず おじさんの周りには必ず援助者がいれかわりたちかわりあらわれ、出資者となってくれる。
「他人のふんどしで相撲を取る」
企業に失敗しても おじさんは損をしない。いつも出資してくれた援助者が損をする。世の中には借金で自殺してしまう話だってあるが おじさんのこさえた損失額だったらいったい何回死んでしまうのかと思うぐらい。でも おじさんのふところは びた一文いたんだことがない。たぶん おじさんの心もいたむことはなかったんじゃないだろうかと思える。そうでなかったら 次から次へと 前の破綻の余韻も覚めやらぬうちに次の事業を企画できるだろうか。

おじさんは 詐欺師ではない。だますのが目的ではないし 実際にはじまるまでは 事業の未来図を明確に語り、その成功を心底信じている。
彼の事業にのったために大損をした人ばかり増えすぎてきて それでも天真爛漫に起業し続けられるバイタリティが 世間の人達にはだんだん怪物じみて感じられてきたようだ。つきあいを避けようとする人もでてきた。
でも やはり また新しい出資者が現れたようだ。
自分の魅力が金になる、と意識的に知っている悪女は 美のタイムリミットがあるがゆえに痛手を被る人には限りがあるだけまだましだ。
自分の人格が金になる、と無意識にも意識的にも知っている男は 命ある限り 存分にその威力を発揮するので たちが悪い。