サキュバスの晩餐

sakyunの日記

運命が揺さぶりにきた

おもわず揺さぶれるままに
飛んで行ってしまいそうになった。
怒り心頭で
荷物をまとめて家出しようと
夜中までかかって 荷造りした。

もう 仕事が何だという 捨てちまえ
あいつの借金が何だ 自分でなんとかしろ
もう勝手にしろ
わたしはおまえたちの八つ当たり用
人間サンドバックじゃない。
わたしはおまえたちの
金づるじゃない。
体調は全然良くなかったのだけれど
直前まで寝込んでいたぐらいだったが
怒りのエネルギーとはすごいもので
驚くべき勢いで荷造りを
なしとげてしまった。

プラスチック衣装箱5個だった。
衣類、本、ささやかな思い出の品。
全部!全部でたったの5箱だ。
わたしの人生が総力を挙げて築き上げたのは
たったのこれだけだ。
貧しいとは自嘲していたけれど
形にしてしまうとこれほど小さいとは
思わなかった。
おちぶれたものだな。
持出せる範囲の現金は5万円。
あとは 車に乗せて 北海道目指して
走るだけだ。
とにかく一回は親の所へ帰ろう。

こんな時代にとびだしたところで
野たれ死ぬのが見えているし
とびださなくたって
緩慢な死がまちうけているだけだが。
無念不本意後悔の中で
どうせ死んでしまうなら
いっそ そのまえにゆっくり美術館めぐりをして
温泉につかって 会いたかった知人に顔を出して
故郷で骨休めしてからにしよう。

そして今日。
引っ張り出した荷物を
もとあった場所に戻しているわたしがいた。
ついでに 大掃除と不要物の廃棄もした。
出ていけなかった。
出ていかなかった。
どっちだろう。

明日からまた 同じ日々へ戻って行く。
何も考えないで ただ働こう。
心なんかいらない。
何も感じたくない。