サキュバスの晩餐

sakyunの日記

ラザニア

ブラジル人のおばあちゃんが
手作りのお惣菜を売りにきた。
おいしそうなにおい。
ブラジル料理は割と好き。
買ってあげたかったけれど
一パック1200円だというので
ごめんなさい、しました。
おばあちゃんは大きな箱二つ抱えて
さらに別の家の玄関を目指した。

私もお金がないんだ。
毎日 お昼は会社に自分で握ったおにぎりを
一個と水筒にお茶をいれてもっていっているんだ。

ここは工業地区。
工場だらけの工場城下町。
車がうれない時代が来るなんて信じられなかったのに
ほんとうにきてしまった。
工場という工場全てが操業減速。
外国人、私のような根無し草、地元民、近隣の県の流入
いろいろなひとがみな よってたかって工場依存生活者。
派遣請負臨時季節の工員は皆解雇かちゅうぶらりんに保留。
ハローワークは人が溢れているという。
これから寒くなるばかりなのに
住む所に事欠く人もいるという。

この前は職を失ったシングルマザーが
3歳の子供を殺し、
隣町では若い夫が妊娠中の新妻を締め殺した。
求人募集に応募しろと妻が口うるさくせかすので
喧嘩になったという。
このままでは一家心中もでてしまいそうだ。
切羽詰まった人たちが 貧しさに恐慌し 殺し合いをはじめている。

困ったのは そういうはなしが ひとごとではないということだ。
わたしもかなり 困っている。
やれることはやっているのだが 生活するにはまだ足りない。

殺す為ではなく ナイフは料理する為に持とう。
とりあえずラザニアを焼こう。
ブラジルの物売りのおばあちゃんほど
おいしそうにはできないだろうけど。